ブライドルレザーのダレスバッグ ~その1~
今回は憧れのブライドルレザーダレスバッグ。
ブライドルレザーとは、タンニンで鞣した革にミツロウやタロー、植物性油などのワックス成分を丁寧に刷り込んでしみこませた革になります。もともと英国で馬具の製作用に強度と撥水性を持たせるため生み出された、1000年以上前から続く伝統技法です。
とても手間がかかる方法で、皮を鞣して完成するまでに半年から1年半かかるとも言われています。
表面に浮き出たブルームと呼ばれる白い粉が特徴的で、使っていくうちにこのブルームが自然にとれていき美しい光沢のある革へと変化していきます。
牛革の中では最高峰ともいわれるブライドルレザー。今回は本場英国で作られたブライドルレザーを使ったダレスバッグのご注文をいただきました。
いつものように製作工程を記していきます。
長くなりますので何回かに分けてUPしていきます♪
さて、いきなりですが革から離れて、まずはダレスバッグの特徴でもある口枠製作を終わらせちゃいましょう。
今回のお客様はもともと別のダレスバッグをお持ちで、他とは違う個性的なダレスをご希望されていましたので、口枠部分がまっすぐなスタンダードではなく、櫛形と呼ばれる口枠が弧を描いたモデルをベースに製作します。
スタンダードタイプだとコーナー部分のみの曲げで済みますが、櫛型なので細かく細かく理想のRを作っていきます。
とにかく手間がかかります。
曲げが完成したら長さを合わせてカット。
面取りをして完成。
型に合わせて、うん。まずまずの出来♪
口枠は取っ手が付く方は強度を持たせるためにスチール。
反対側は少しでも軽量化させるためにアルミを使います。
加工の際は、柔らかいアルミから先に曲げていきます。
順番が前後しますがスチールの方には取っ手を取り付ける穴をあけます。
ビスの頭が出ないようにテーパーをつけておきます。
タテカンを取り付けて完成♪
さ、こっから革作業です♪
まずは口枠に巻く用のヌメ革をブライドルのネイビーに合わせて染めます。
革を染める時は、ムラが出ないよう、まずは革をびちゃびちゃに濡らします。
さらに染料を希釈して、薄ーい色で何度も何度も染めていきます。
こうすることでムラなくきれいな色に仕上がります。
さて、染めた革を乾燥させている間に取っ手を作っていきます。
心材には床革を使います。
革包丁で荒断ちしてやすりで形を整えていきます。
だんだん形が見えてきました。
この辺からやすり作業です。
もうちょい整えて…
こんな感じで完成♪
もう片方のグリップも削ったら、他のパーツも切り出していきます。
グリップの端を45度に削ります。
輪っかに接着。
面取りします。
ここで先ほど染めておいた革を、巻き革として切り出します。
巻いたときに段差がでないように、ゼロ漉きします。
端が見えた時にかっこ悪いので、断面も染めます。まぁといってもほとんど見えない箇所ですが(笑)
グリップに巻いていきます。
凹凸部分にまっすぐ貼るので、思いっきり引っ張って伸ばしながら巻いていきます。
真ん中に挟む部品の見える部分を染めて、コバを整えます。
挟むように接着します。
こんな感じ。
接着だけだと弱いので、縫います。縫い穴は両方から菱目打ちであけて、丸ギリで貫通させます。
こんな感じで両サイドを縫います。
さてクロコさんの登場。
今回はブライドルに加えて、ポイントポイントでクロコを使うスペシャルバージョンです♪
裁断したパーツの内側をゼロ漉きします。
クロコダイルの鱗にはピットと呼ばれる感覚器官の穿孔が空いてます。
下地が見えるほどの穴ではないですが、気分的に嫌なので、グリップ芯も染めておきます。
まぁあくまで自己満足の工程です(笑)
ちなみにピットがないワニ革はクロコダイルではないワニ革です。
裁断した2枚のクロコ革を縫製してノリを塗ります。
グリップに巻いていきますが、シワや浮きがないように思いっきり引っ張りながら貼っていきます。
この工程はいつも汗だくになります。
うまく貼れたら、あとは際を縫っていきます。
縫製できたら幅を揃えて縫い代をカットします。
コバをきれいに整えて、染色します。
あとはひたすら磨くのみ♪
グリップ完成♪
今回はここまで。
長々と読んでいただきありがとうございます。
~その2~に続く。
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