バッグ修理②
前回の続き。
お客様から預かった2つのバッグ。
もう一つはダレスバッグ。
ダレスバッグというのは、1951年にアメリカからジョン・F・ダレスさんが来日した際に、持っていたバッグで、それを見た日本人が「かっけーー!俺も作ろう!」ってことで作ったバッグだから、ダレスバッグっていいます。
なので、完全に和製名称です。
日本以外では通じません(笑)
欧米ではドクターズバッグとか、ロイヤーズ(弁護士)バッグといいます。
今回修理を依頼されたダレスバッグは、アメリカで140年くらい続いてる有名ブランドのハートマン社製。
アメリカの大統領やら、イギリスの首相なんかも使っていたバッグのメーカーです。
で、今回の依頼者さんは、お父様から譲り受けたそうです。
2代にわたって使われるバッグって素敵です♪
そんなモノづくりをしていきたいですね(*^_^*)
さて、前回と同じく持ち手の修理。
いや、作り変えです。
しばらく使っていなかったのでしょう。
革が硬化して、破けています。
中の芯材も見えちゃってますね。
まずは金具から芯棒を抜いて、持ち手を外します。
と思ったんですが、棒にマイナスの溝が切られていない!?
どうやって外すんだ???
通常、芯棒にマイナスネジの溝が切られていて、ドライバーで外せるようになってるんですが…
色々悩みましたが、この持ち手の構造なら、この状態でばらせば、芯棒が見えるので、それから考えることに。
糸を切って。
べりべりべり。
ぱっかーん♪
芯棒が見えました。
でもネジっぽくない。
圧入か?
仕方ないので、棒の真ん中に金鋸で少しだけ溝を切って、マイナスひっかけて叩いたら、抜けましたヽ(^o^)丿
で、オリジナルに忠実に作り変えようと思い、この持ち手に使われている樹脂の芯材を再利用します。
巻いてある革を外し、接着剤のベタベタをきれいにし、あらたな革を巻いていきます。
と、ここの工程の写真が消えちゃったので(笑)
いきなり完成です(笑)
染色したヌメ革を巻いて完成♪
と思ったんですが、、、
完成して、しばらく置いておいたら、伸ばして貼っていた革が縮み、切れ込みが見えてしまっていました(@_@;)
考えられる原因は2つ。
・使用した革が厚かった。
オリジナルはかなり薄く、0.6mmくらいに漉いた革を使っていたのですが、僕はあまり薄い革を使うのは好きではなく、強度アップはもちろん、革を触った時のある程度の弾力が欲しいので、1.2mmの革を使用していました。
・芯材の内部に接着だけでなく、タッカーを打ち込んでいなかった。
オリジナルより厚い革を使っているので、接着だけではRの引っ張りに堪えられなかった。
芯材にタッカーで完全に固定していれば切れ目が出てくることもなかった。
でも、基本は見えないとこだし。
カバーでも作って隠しちゃうか?
ん~・・・。
いやいやいや!
見えないとこにこそ、力を入れて仕上げるのが日本の職人の素敵なところ♪
そこに一歩でも近づくためには、妥協なんかしてられないヽ(^o^)丿
急がば回れ♪
てことで、オリジナルにこだわらず、当工房で製作しているダレスバッグの持ち手と同じものを、今回のバッグのサイズに合わせて一から作ることにしました♪
うちの持ち手は芯材を使わないので、というより、芯材も革で作ります。
芯材用の床革を裁断します。
好みの厚みになるまで重ねて接着。
で、革包丁やヤスリで整形します。
ベースに接着し、真ん中の巻き革を巻きます。
真ん中に厚めの革を挟み込んで、折りたたみます。
で、革の戻る力に負けないよう、根元を縫製します。
全体の巻き革の折り返し部分を漉きます。
見える部分のコバはきっちり処理♪
巻き革を縫製します。
革がシワシワになっているのは、このあと芯に張る際かなり引っ張るので、伸びるように、内部の繊維を断ち切るためよく揉んでいるから。
芯に巻きつけたらシワはかなり目立たなくなります。
巻きつけました。
外側のキワを縫製していきます。
ここは、革がかなり厚いので、両方から厚みの半分ほど目打ちをして、両サイドの穴を丸ギリで繋いで縫っていきます。
ここが縫い終わると、巻きつけた部分がさらに引っ張られるので、シワもほぼなくなりましたね♪
あとは、余分な部分をカットし、
コバを整形し、満足するまで磨いて、焼き締めをしたら出来上がり♪
バッグ本体に取り付けて、完成ですヽ(^o^)丿
お父さんから受け継がれたバッグ。
これでまた、新たな人生を歩んでいってください♪
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